Climb every mountain

大自然の中にいるのがいちばん落ち着きます。40代後半からセミリタイヤ&節約生活をスタート、毎週のようにお山に登っています。

驕るべからず

f:id:annee:20160407204603j:plain

晴れ間を狙ってシーズン後半の雪山へ。
予定ではベテランひとりと初中級者ふたりの3人パーティだったが、紆余曲折の末、アタックはベテラン抜き。
リーダー役のパートナーも自分も、いろいろ考えながら登る良い機会になった。

どんなスピードで歩く、どこでどれくらい休む、どこで装備を着脱する、どのルートを取る・・・ 雪山は夏のルート取りと異なるため、常に状況を確認し判断しなくてはならない。
今回、3、4mほどではあるが、人生初の滑落を経験した。

行きにアイゼンでトレースをつけたトラバースを、帰りは雪が緩んだこともあり、ノーアイゼンで渡ろうとした。
キック ステップをしながら、古傷の股関節に痛みが出て足が決まりにくい、と感じていた。
ピークハントで思ったより消耗しており、トラバースも記憶より長く思えた。
あとほんの10mと思った地点、斜面に行きのアイゼンの爪痕がうっすら残っている状況だった。
次のステップをキックした瞬間、予想より硬い斜面に足が決まらない。まず片足が滑り、両足とも斜面を滑り出した。
『え、滑った』と思ったのを覚えている。
ゆっくり滑り出した時、『両手両足で抵抗を作って全身で止める』という訓練が脳裏に浮かぶ。
分厚いアウター グローブの両手で雪面を引っ掻くようにして抵抗し、すぐ下が隆起していたこともあり、すぐに止まることができた。

止まってみてからぞっとする。
落ちても死なない場所ではあるが、今、まさに、自分が滑落した。
ピッケルではなくストックを使用していたが、どちらにしても、有効な滑落停止ポジションを取ることすらできなかった。

時間が押していた、アイゼンを再装着するのが面倒だった、ストックをピッケルに替えるのが面倒だった、行きが平気だったから帰りも大丈夫と思った、疲れていてステップが疎かだった etc. etc.
全て基本に背いた慢心の結果だ。
慣れてきた頃が一番危ない、とはよく聞く警句だが、まさに今回の自分がそうだった。猛省。
2度と同じことを繰り返さないためにどうしたら良いか、考え続けている。