Climb every mountain

大自然の中にいるのがいちばん落ち着きます。40代後半からセミリタイヤ&節約生活をスタート、毎週のようにお山に登っています。

能楽のすすめ その2

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(梅若会 自主公演予定ちらしより)

4月から市民カレッジで能・狂言のコースに通っている。6月から講師が観世流 梅若会の能楽師、山中迓晶さんにかわったが、これがおもしろい。

annee.hatenadiary.com

まだ40代の、能楽師としては若い先生だが、ひとに見られる職業であるゆえんか、はたまた関西出身のせいか、たいへんひとなつこく話術にもたけている。2時間の講議中、テキストやメモを見るでもなく、能の歴史や演目、能装束について軽妙に解説してくださり、飽きさせない。能の一場面を朗々と謡ながら仕舞で見せたり、糸と針を片手に能装束の着つけを実演したり、プロの幅広い知識と技術には驚くしかない。それにしても、セリフひとつ取っても、装束の柄行きひとつ取っても、解説されてはじめて意味が分かることばかり。日本の伝統的な芸術であるのに、今や一般のひとにはなかなか敷居が高くなってしまった。

それでも、歌舞伎や能楽狂言は、後継者育成やファン育成にたいへん熱心で、新旧交代も比較的うまくいっている方だそうだ。この講師のように脂ののった年齢の本職が、市民カレッジでレクチャーしてくれるのも、裾野を広げる試みなのだろう。
昔使われていた装束が、現代では良い絹が取れないために織られなくなった、などという話を聞くにつれ、自分も一観客として日本の古典芸能存続の支援ができたらいいなあと。

山中さんは今年は大曲続きだそうで、9月には「楊貴妃」、11月には「望月」の披きが控えているそう。今からスケジュール帳にチェックを入れている。
(「披(ひら)き」… 能楽師が初めて能や狂言をつとめるときに使うことば)

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(小鍛冶の前シテ、童子(稲荷明神)の面)