ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 1.きっかけ編
モンブランに興味を持つきっかけは、NHKの『世界の名峰 グレートサミッツ エピソード100 アルプス・モンブラン』だった。
放映は2014年3月。
自分はこのシーズンから本格的に雪山をスタートしたところで、まだピッケルも本格的なアイゼンも持っておらず、先輩からお借りした装備で雪の斜面に立つのも恐々。
ただ、雪の世界が美しいもので、登山者を魅了するのが良く理解できるようになった時期であり、低山から2000m級まで(もちろん日本の)いくつかの雪山で経験を積むことにより、「次の山」へのモチベーションが高まるタイミングでもあった。
番組の中で印象的だったのが、
・NHKの女性プロデューサーが実際にガイドと共に登っていたこと。
・取材パーティのスピードが遅く、途中で荷物チェックして更に軽量化したこと。
・標高4,810mでの酸素濃度は平地の2/3以下ということ。
何より、
・ガイドが当日の天候から予定より数時間遅い出発を決断し
・それが奏功し、強風の落ち着いたタイミングで登頂に成功できたこと
(強風のため、途中のヴァロ避難小屋で引き返してきたパーティも映像には映っていた)。
ガイド登山ってすごいんだな、不可能が可能になるんだから。自分がもし海外の山に登ることがあるとしたら、ガイドをお願いするのかな。それにしても、空気が薄いってことはたいへんなことなんだな。。
富士山より高い山に登ったことのない自分にとっては、雪山の、しかも海外、4000m峰、というのは文字通り「雲をつかむ」ように、途方もなく遠い世界のことに思えたものだ。
ところが、この同じ2014年の夏、山の会のベテランの大先輩たちがモンブラン登頂にチャレンジし、成功した。
自分がその挑戦を知ったのはもう4月に差し掛かる頃だったが、飛行機の手配からトレーニング計画、高度順応等々、あのテレビで映っていた雪の山に、自分達だけでチャレンジすると分かった時は驚いた。
次いで、羨ましいという気持ち、もちろん自分にはまだ技術的・体力的に無理だという思い、仕事も休めないし・・という諦め。
録画しておいた『グレートサミッツ』を、その後、何度も見返した。自分にはまだ遠い事と思いながら、しかし、ずっとこの先輩方がモンブラン登頂を成功させたこと、”天に続くステップ”を一歩一歩踏みしめて歩る映像のイメージは、いつも頭の片隅にあった気がする。
この後、自分が仕事を辞めることになり・・。
いろいろあったものの、とにかく体力と気力があるうちにやりたい事をやってみよう、と考えるようになった。
雪山でよくお世話になっている先輩のひとりが、今年モンブラン登頂を目指すらしいと聞いたとき、思い切って自分もチャレンジしたい、と伝えることができたのは、そんな心構えがあったから。内心、まだお尻に殻のついたひよっこのくせにずうずうしいよな、という懸念はあったが、OKをもらえた時は嬉しくて、トレーニングがんばるぞー!、と誓った。
(本当は、ガイド付きで行くのだと思い込んでいたので、『自力ですよ』と言われた時は、自分のうかつさを後悔もしたのだが。それは後日談・・・)