Climb every mountain

大自然の中にいるのがいちばん落ち着きます。40代後半からセミリタイヤ&節約生活をスタート、毎週のようにお山に登っています。

能楽のすすめ その3

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観世流能楽師 山中迓晶さん講師による、能・狂言の市民カレッジに通っている。

annee.hatenadiary.com

先日は、能とは切っても切れない「扇」についての講座。ご自身がお持ちの、100ちかい数の扇が展示された。金銀、紅をあしらい、花鳥風月を彩った豪華絢爛な扇や、銀、黒、白を基調とした重みのある月雲の意匠、クールで端正な青海波の文様など、見飽きない。

江戸時代以降、能や狂言は約束事を守り様式美を確立して今日に至るため、この扇ひとつで、演じる役の素性(老若男女、人なのか、神なのか等)がすぐに分かるという。前回も感じた事だが、素地の教養なしに日本の古典芸能を十分に楽しむのは至難の業だ。

この日はお気に入りの扇を手に取っては、その演目のハイライトを即興で何曲か披露して下さった。事前に解説いただくことでその舞台をイメージでき、実際に荒波や月の光が感じられるように思える瞬間があるのは、このような講座ならではの醍醐味だ。

最後に、仕舞稽古用の扇をひとり一本ずつ持ち、一尺一寸の扇の、持ち方、開き方、閉じ方を見様見真似でやってみる。
優美なデザインと相まって、日本古来の芸能の、ほんの一端にだが触れているという楽しさが湧いてきた。