リサとガスパールに会ったよ! ポンピドゥー・センター傑作展
上野の東京都美術館へ「ポンピドゥー・センター傑作展」を観に行く。
20世紀フランスの1年1作家1作品
絵画にはじまり、彫刻、写真、映像 etc、20世紀のフランス アートを、1年ごと・1作家・1作品で切り取った展覧会。厳選された作品をひとつずつ見ていく中で、アートの潮流、時代の空気、戦争の影響とそこから抜け出す人々の暮らしも感じさせる、意欲的な企画だ。
デュフィ、シャガール、ピカソ、マティス、サンローラン。そしてビュッフェ。世界的に著名な作家から、日本ではあまり知られていない個性的な作家まで、多彩なジャンルをカバーしている。また館内の展示デザインや、アーティストが自ら自分の作品を語るスタイルにもフランスらしさが感じられ(パリを拠点に活躍する建築家・田根剛氏が担当)、「ART」を肩肘張ることなく楽しむことができた。
1929年 セラフィーヌ・ルイ 『楽園の樹』
個人的に圧倒されたのは1929年の展示、セラフィーヌ・ルイ(Seraphine de Senil)の『楽園の樹』。この作家のことは全く知らなかったが、彼女の絵の前に立った時、それまで1900年初頭から年代を追って観てきた作品群からは抜け出たような、生命力と神秘性、宇宙の深淵さを感じ、しばらく無言で見入ってしまった。
(出典: Wikipedia)
1945年 エディット・ピアフ 『La Vie En Rose』
もうひとつ忘れがたいのが、1945年の展示。
白い壁に作品はなく、ただ、エディット・ピアフの『La Vie En Rose(バラ色の人生)』が小さく流れていた。日本にとっても、全世界にとっても非常に大きな意味を持つ1945年。何かを鎮魂するような「展示」が心に残る。
(ちなみに前年である1944年の展示はモノトーン写真、『ドイツ軍が撤退するオペラ座広場』)
(おまけ)リサとガスパール
さて、ミュージアム ショップを覗いてみると、なぜか『リサとガスパール』グッズで溢れている。なぜ絵本のキャラクターが? フランスだから??
出口に設置された写真ポイントようやくわかったのだが、白うさぎのリサはポンピドゥー・センターのパイプの中に住んでいる想定なんだとか!
楽しい~
さらに、会場出口には『サン・ラザール駅裏』という有名な写真をモチーフにした、黒うさぎのガスパールのイラストがあるので、こちらもぜひ!
(本家、1932年の展示 アンリ・カルティエ=ブレッソンの”決定的瞬間”『サン=ラザール駅裏』。
これがガスパール演出に変わっているわけですね)
ポンピドゥ・センター傑作展は東京上野の東京都美術館で9月22日まで開催。
ぜひ足を運んでいただきたいけれど、それが難しいひとも、公式HPで作品の一部を観ることができます。「みどころ」で年代別にクリックするだけ。お楽しみあれ。