Climb every mountain

大自然の中にいるのがいちばん落ち着きます。40代後半からセミリタイヤ&節約生活をスタート、毎週のようにお山に登っています。

自力でモンブランに登るために必要な3つのこと

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ガイドツアーでなく、自力でモンブランに登る。
そのためには良く錬られた1.計画と2.トレーニング、3.装備が必要だ。自分の覚書も兼ねてまとめてみた。
(詳細については各記事で紹介していますので、▶マークを参照してください)

1.計画

登頂ルート

まずはルート、そして日程が計画の一番の基盤となる。
参考まで、自分達はグーテ小屋2泊3日間という、”登頂必達”のルートで構成した。

 ・1日目 シャモニー市街からバス、ケーブル、トラムを乗り継いでニデーグルへ
      ここから標高差1,400mを登りグーテ小屋泊
 ・2日目 早朝グーテ小屋を出発、標高差1,000mの山頂にアタック。グーテ小屋泊
      (※この日登頂できなかった場合は、翌日再アタックして一気に下山)
 ・3日目 朝グーテ小屋を出発し、シャモニー市街に戻る


グーテ小屋はモンブラン山頂に最も近く、最大限に活用すべき小屋だ。その下にあるテートルース小屋と併せ、日程やパーティの体力に応じて登頂パターンを計画すると良い。
(最もメジャーなフランス側からの登頂パターンをいくつか紹介↓)
ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 6.登頂計画 - Climb every mountain

山小屋予約

ヨーロッパ アルプス、フランス側の夏季山小屋予約は4月にスタートする。
その年の6月から9月のオンライン予約が全世界一斉にスタートするのだが、前出のグーテ小屋、テートルース小屋も完全予約制のため、ここでの予約取得が非常に重要だ。同じ人が連続して予約できないシステムのため(登録ガイドは除く)、複数日を連続して押さえる場合はメンバーで手分けして予約した方が良いだろう。

2016年は4月12日の現地時間 8時半、日本時間で同日15時半に予約開始となった。毎年微妙に予約開始日が変わるため、少し前からサイトをチェックしておくのがおススメ。
www.ffcam.fr
ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 2.準備編 - Climb every mountain

2.トレーニング

日本でのトレーニング

モンブラン登頂ツアーを開催している旅行会社のサイトや登頂者のサイト等を検索したところ、概ね次のような条件を挙げている。

登山技術としてピッケルやアイゼンを十分使いこなせること。日本国内では、積雪期(12月から4月)の富士山、奥穂高が苦にならず登れる程度の技術が必要。
モンブラン頂上直下には距離約200mのナイフリッジがあり、グーテ小屋までは高低差600mのII級程度の岩稜帯。決して簡単に登れる山ではない。
体力的に、アルプス登山はスピード=安全。日本の一般登山道で1時間に高低差300~400m程度を登れる体力が最低限必要。


モンブランは技術的にはそう難しくない山、とされているが、山頂直下には長いナイフリッジと急斜面が続く。そのため、日本であれば積雪期の富士山、奥穂高岳レベルの山で十分経験を積んでおくことが必要だろう。
(自分達も雪の富士山、奥穂高岳を計画したが、自身は体調の問題で参加できなかった。)

雪山の技術だけでなく、長時間行動できる体力が必要だ。自分は渡欧前は、7時間から10時間の山行を毎週入れて体力アップを心がけた。

ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 3.トレーニング編(その1) - Climb every mountain
ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 4.トレーニング編(その2) - Climb every mountain

現地トレーニング

高度順応が不可欠。
自分達は山行前日にエギュイ・デュ・ミディ展望台(3,842m)へ行き、2時間ほど滞在して高度に体を慣らした。直前にイタリアでも3000m級の山を登っていたためこれで良しとしたが、日本からダイレクトにフランスに入る場合は、時差ボケ対策と高度順応のため、もう少し日程を割いた方が良いだろう。
ガイド ツアーのパンフレットなどを見ると、一日はエギュイ・デュ・ミディへ行き、一日は氷河を歩く、等が一般的なようだ。

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ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 5.シャモニーで高度順応 - Climb every mountain

3.装備

基本は冬山装備

アイゼン、ピッケル、ヘルメット、冬用アウター等、日本の2月から3月の冬山装備を使用した。4,000m以上で風が吹くとたいへん寒いため、目出し帽、オーバーグローブ、アンダーウェアなども冬期仕様のものを用意。
一方、歩き出しのニデ―グルでは、晴天であれば夏服、夏帽が必要となる。夏から冬の調整ができるよう、うまくレイヤリングを工夫すると良いだろう。

装備は各自の体力、経験によって変わる。下記はあくまでも一例として参照して欲しい。

・ザック:  28Lを使用。これに入るものしか持たないと決め、軽量化に務めた
・ガチャ類: ハーネス(簡易)、スリング、カラビナ
       グーテ小屋までの岩場のワイヤに掛け、自己確保できる
・水筒類:  500mlテルモスと500mlペットボトル持参(注: 自分は水をあまり飲まない方)
       水は小屋で購入できる
・ストック: グーテ小屋からヴァロ避難小屋まではピッケルでなく、ストックで十分

行動食

冬山の行動食と同じ考え方で、凍らないもの、立ったまま休止でも口に入れやすいもの、自分の好きなもの、パワーが出るものが良い。

その他

とにかく軽量化に務めた。
衣類はレイヤリングし、だめな時用にホッカイロを少々持つ。ハーネスは持たず、簡易ハーネスにする etc. アタック時は、余分な荷物を小屋に置いていくことができる。また、途中にあるヴァロ避難小屋にデポすることも可能(自己責任です)。
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最後に

ガイド ツアーが大半

モンブランはガイド ツアーが盛んで、大半のパーティはガイドとお客をショート ロープで繋いで歩くスタイル。ツアーに入れば、小屋の予約、移動の手続き等をすべて任せ、自分は歩くことに専念できるという大きなメリットがある。

一方、海外でのツアーは、日本のそれとは異なる点が多い。
日本のツアーのようにガイドがお客さんに合わせてくれるわけではなく、体力のないものは途中で下山を勧告される場合もある。また、日本の一般的な登山のように、1時間毎に5分休憩するというようなスタイルは取らず、飲まず休まずで歩き続けることも多いと言われている。
ツアーに入る場合は、海外スタイルに合わせるのか、もしくは、日本の登山スタイルに理解のあるガイドやツアーを選ぶのかを考える必要があるだろう。

ルート ファインディング

最盛シーズンを選び、天気が良ければ、道に迷うことはほぼ無いと言って良いだろう。雪上はほぼ確実にトレースがついているし、登山客は多い。
(自分達が多少苦労したのは、ク―ロワールからグーテ小屋までの岩稜帯で、ここは雪が溶けて踏み跡の薄いザレ道となっていた。また、日本で入手した地図が古く、新グーテ小屋と旧グーテ小屋(現避難小屋)の位置関係が分からず、ガスの中で立ち往生する羽目になった。現地で最新情報取得、が鉄則)

ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 7.初日はグーテ小屋まで - Climb every mountain


最後は体力勝負

やはり最後は体力勝負だと実感した。
日本の山に較べてスケールが大きく、歩いても歩いてもなかなか辿り着かない。そんな時の集中力を維持するのも、結局は体力だ。山でしっかり食べられること、山でしっかり眠れること、それらも全て体力へと繋がっている。体力が山の基本のすべてです。

ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 8.晴天の中を登頂 - Climb every mountain
ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る 9.さらばモンブラン - Climb every mountain

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(あとがき)
このブログを始めたのは、モンブラン登頂に向けての自分の軌跡を残しておきたい、という考えからでした。 チャレンジしてみようと思っている人にとって、少しでも参考になればと思っています。

お伝えしたいことも、これでほとんど書けた、かな? 一ヵ月経った今、自分の中でも、ようやくこのチャレンジが消化でき、卒業できそうな気がしています。

ずっと目標にしていた山に届くことができ、今年はほんとうに幸運な一年でした。
次はどうなるのか、今は、まだ何も分からない。
でも、また新しい何かを探そうと思っています。


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