Climb every mountain

大自然の中にいるのがいちばん落ち着きます。40代後半からセミリタイヤ&節約生活をスタート、毎週のようにお山に登っています。

ヨーロッパ アルプス最高峰、モンブラン(4810m)に登る   8.晴天の中を登頂

真夜中の1時を過ぎから人の動く気配がし出し、2時前には食堂の前に長蛇ができる。いよいよモンブラン アタック。
annee.hatenadiary.com

朝食のメニューはグラノーラ、パン、ハム、チーズ、ジャム、バター類、コーヒー、紅茶。
さすがに食欲は無いが、まずは牛乳でグラノーラを流し込み、胃が動きだしてから、パンにチーズ、ハムを挟んでしっかり食べておく。食べることは体温上昇にもつながるので、寒がりの自分にとっては重要だ。
あまったポットのお湯はテルモスに頂き、行動食用に持参した尾西フリーズドライ赤飯も仕込んでおく。予備手袋にくるんでザックの背中に近いところに入れておけば凍ることはない。

なるべく軽量化し、他には好物の行動食少々、テルモスにお湯500ml、水500mlを持つ。お守りのつもりでアミノバイタルも飲んでおく。

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予定通り、大半のパーティが慌ただしく出発してから準備を済ませ、3時半に小屋を出る。
ヘルメット、アイゼンにストックでスタート。ガスがかかっているが、風はあまりない。富士山の御来光山行のように、ヘッドランプが数珠のように連なって淡く光っている。
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ゆっくりゆっくり、雪の斜面を折り返しながら歩く。わずかに残っていた他のパーティにも追い抜かれるが、気にしない。
今日は登頂し、それから最短のグーテ小屋まで戻るだけだ。
風はない、体調も良い、恐れることは何もない、と自分に言い聞かせる。昨日から不調のメンバーはやはり足取りが重く、時々立ち止まって追いつくのを待つ。

日の出の気配が次第に強くなり、空が薄紫から薄紅に染まっていく。前方のドーム・デュ・グーテ(Dome du Gouter 4,304m)のシルエットが大きい。時折日の出前の強風が吹き、アウターのフードを目深にかぶって先を急ぐ。
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歩き出して2時間半ほどでヴァロ避難小屋(Refuge de Vallot 4,362m)に到着。小屋に入って遅れているメンバーを待つ。
避難小屋には銀マットにシュラフビバークする若者が何人か。ゴミが散乱し、トイレの悪臭もする小屋だけれど、暖かいのはありがたい。風がないとはいえ、4000mを越えた雪山では立ち止まった瞬間からたちどころに冷えてしまう。
殆ど飲まず食わずで来たので、ここで落ち着いて尾西の赤飯を頬張る。

外はもう明るく、綺麗な青空だ。この先の真っ白なグランド・ボスに取りつく人々が蟻のように見える。
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ここからモンブランの急登が始まる。ストックはピッケルに持ち替える。
かなり斜度のある雪面を、降りてくる人と譲り合いながら登る。殆どはガイドと客をショート ロープを繋いだガイド ツアーだ。”譲り合いながら”と言っても、日本のような「登り優先」という暗黙のルールは無いようだ。のんびりしていると一方的にガシガシ降りてくるので、呼吸が苦しくならない程度にうまく割り込みながら先を進む。

もう4,500mを越えているはず。ゆっくりペースなせいか、自分は呼吸が苦しくて辛いということは無かったが、リーダーは『肩で息をしている感じ』と言う。高山の影響がかなり堪えているようだった。

避難小屋から見上げた時は、鋭角なナイフリッジに見えたが、それなりに踏まれて道幅が広がっているので、集中すれば怖さはない。
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真っ青な空の下、真っ白な雪を一歩一歩進む。過去に登頂した先輩が『ナイフリッジが長くてね・・・』と言っていたっけ。
まだかな、まだ終わらないかな、と考えたくなるのを制し、過去にもらったアドバイスを頭の中で繰り返す。『いいか、絶対にツァッケ(アイゼンの爪)に引っ掛けるんじゃないよ』、『靴と靴の間にグレープフルーツ1個入るくらいしっかり空けるんだよ』。大きなクレバスの脇に出来た壁も、ピッケルを梃にして、体を引き上げて乗り越える。
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9時、長い長い稜線を歩き続け、次第に傾斜がゆるくなり、そこが山頂だった。
「ああ、やっと着いた。よかった。」ほっとして、4人で固く握手した。
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大勢の人が荷物を下ろして写真を撮っている。
天気は最高。青い空に白い山々。ほんとうに登頂できたんだ、という喜びがじわじわと胸に広がってきた。
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記念写真をとり、行動食を少しお腹に入れ、下山を開始する。
下りはとにかく絶対転んではならない。ナイフリッジのすれ違いは要注意だ。
ヴァロ避難小屋まで辿り着いて緊張が解ける。この後の道はストックに持ち替えられるくらいの緩斜面になる。

リーダーは高度障害が出て、寒気と吐き気がすると言う。残りのメンバーで荷物を分け、先頭を交代して、ゆっくり下る。
不調者には申し訳ないが、なだらかで美しい雪の道は、登頂できた喜びも重なり、輝くばかりの美しさだった。
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13時過ぎにグーテ小屋に戻り、体調の悪いメンバーには休んでもらう。小屋食もキャンセルし、食堂の軽食や行動食を食べて過ごす。
自分も封印していたビールを購入、メンバーと乾杯。
(高山なのと、500mlが9€もするので・・。¥1000超えです・・)

登れて良かった! 満足です。

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